今、高齢知的障害者の認知症をめぐっては障害福祉の大きな課題となっています。認知症とは分かりやすく言えば、”認知機能の低下”ですので、以前は元々認知機能が低下している知的障害のある方がはたして認知症になるのか?あるいは認知症になったとしても元々の認知機能の低下がある分、あまり変化はないのではないかという議論もある程度ありました。
しかし、徐々に知的障害のある方全体の高齢化や長寿化が進むにつれ、知的障害のある方が認知症になるのは健常者よりも高い確率ではないか、であればどのような実態であるかを解明すべきではないか、対策を検討すべきではないかという議論が2015年頃から徐々に始まったように思います。
高齢知的障害者支援について、どの施設でも喫緊の課題であるのと同時に、まだまだ国レベルでもこれからようやく知見を集めていくという段階のようです。これから研究が進むにつれて、早期発見の方法や支援対策等が徐々に整備されていくと感じます。ただし、それまでにはある程度の時間がかかるでしょう。
今我々に出来る事は 障害者の特性+早期の高齢化による変化に気づく+考えられる資源・支援方法を活用し、QOLの低減に努めるという事ではないかと考えます。知的障害のある方の高齢者支援については、現場でも難しい点も多くあるのが現状です。しかし、今感じている困難さや難しさは誰も経験していないが故の物であること、そして現在高齢知的障害者支援については国レベルで徐々に支援体制整備向けて動きつつある事、今取り組んでいる事は未来の支援者にとって必ず有意義な取り組みにつながるという事を糧にしながら、日々高齢知的障害者のご利用者のQOLの向上に向けての新しいチャレンジをしていきたいと思います。