高次脳機能障害とは事故やケガにより、脳の機能に影響を及ぼす後天的な障害です。
医療の進歩により、以前は救えなかった命も救えるようになった事は非常に喜ばしい事です。反面、高次脳機能障害のある方のその後の生活を支えていく資源や環境はまだまだ発達段階であると感じます。
それと同時に障害福祉の分野は知的・精神・発達・身体・高次脳機能障害・難病とカバーすべき範囲が多い事を改めて感じます。
障害者支援施設(いわゆる入所施設)一つとっても年齢・障害の重さ・支援の内容(生活介護~就労)と幅があり、求められる知識やスキルも非常に高いものがあります。一見、それぞれに求められているものが違うように感じますが、根底にあるものは脳の器質的障害に対する支援であり、①障害の特性(脳の機能障害)合わせた支援や環境整備(刺激の排除やわかりやすい構造)を行う ②コミュニケーション支援(支援者がコミュニケーター)となる などは基本的にどの福祉サービスにも共通した要素です。
以前視察したスウェーデンで現地の精神科の先生が言われていた事ですが、高次脳機能障害は脳が疲れやすいため(本人は障害を負う前と同じように自分の脳の能力を考えているが、以前に比べ脳は格段に疲れやすくなっており、その疲れが不調につながりやすい)ため、支援者が適度に時間を区切ったり、スケジュールを組んだりすることが必要だということでした。
今後AIやロボット、ICTがどんどん生活場面に入り込んでくることにより、高次脳機能障害のある方の生活しづらさを緩和する機器もより登場してくるのではないかと期待しています。